■企画立案者
〜株式会社三河屋 代表取締役 諸星保男
【 食文化を啓蒙し、豆腐の価値の復興を】
豆腐は、歴史ある食べ物です。
そして古来より豆腐は、縁起の良い・健康に良い食べ物として知られ、
様々な行事の折に触れ、豆腐は食べられてきました。
私が子どもの頃からの豆腐に対する記憶を辿ると、一番印象に残っているのは“十五夜の行事”です。
その頃は十三夜、十五夜といえば、必ずお豆腐をお供えしたものです。
これが思い出されて、かつて豆腐は、そうした神聖な部分も有した
品格の高い食べ物であったのではないかと思いました。
ですが今、我々の周囲では、そうした豆腐に関わる神聖な思いや信仰は廃れてしまい、
ほとんど接する機会を失っています。また現在、豆腐をとりまく環境も大きく変わりました。
豆腐という食べ物の価値は今、同じ量の水よりも軽んじられているような状況にあります。
かつて、豆腐には信仰に基づいたストーリーがあったはずです。
そうした神聖な思いがあれば、豆腐は安売りに流されることはなかったかもしれません。
ならば今一度、廃れつつある食文化に目を向け、それぞれがつくる豆腐にストーリーと確固たる企画を持てたならば、
我々豆腐製造業者は、流通に主導権を握られた安売りの対象から脱却することができるのではないでしょうか。
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「夏越豆腐」を広める取り組みは、利益は二の次にして、まず食文化を掘り起こし、
豆腐の価値を高めていく大儀を持った取り組みです。
これによって我々豆腐製造に携わる者が自らの仕事に誇りを持ち、
現在社会に団欒と絆を取り戻す一助になればと思っています。
ぜひ多くの方にご賛同いただき、「夏越豆腐」の輪が全国に広がっていくことを願っています。